平成29年1月22日(日)大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能治療学教室 准教授 野原幹司先生を講師に招き講演が行われた。講師は特に摂食嚥下に関する数々の著書を執筆され、多数の講演を重ねておられる。
12歳DMFT 20年で約1/4に減少しているのに対し、う蝕、歯周病の罹患率は高齢者で上昇している。また団塊の世代が後期高齢者になるいわゆる2025問題を抱え、修復治療を中心としてきたわれわれ歯科医師は口腔機能の回復、低下の予防といった「高齢者型歯科治療の需要」にも対応もするべきである。講師はこの重要性を話された。そこで必要になるのが摂食嚥下である。まずは基礎知識から。「嚥下の5期」から始まり嚥下障害の病態などを嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査の動画等で学んだ。摂食嚥下を勉強する上で必要なのが認知症の知識である。4種類の認知症とその症状、嚥下障害との関連、また種々の障害への対応を学んだ。
修復治療は比較的対応が画一的なのに対し、摂食嚥下を含む口腔機能の改善、維持には患者の病状や環境に合わせた多様な対応を必要とされる。それには知識を身につけるだけでなく現場で経験を地道に積むことが必要と感じた。非常に興味深い学問でありまた確実に必要とされる分野である。一石一朝に習得できる物ではないが少しずつでも学んでいきたい。そういう思いを抱かされた野原先生の講演であった。
(PGC委員 大42 中井政徳 記)