学術

平成28年度 大阪歯科大学同窓会 学術研修会

平成28年度大阪歯科大学同窓会学術部特別講演を以下の日程で開催しました。

チーム医療で取り組む「予知性の高いインプラント療法」
 日 時 平成29年2月 25日(土)
 場 所 大阪歯科大学 創立100周年記念館
 講 師 小宮山彌太郎先生
     山口千緒里先生

 平成29年2月25日に本学100周年記念館にて平成28年度大阪歯科大学同窓会学術研修会が開催された。テーマはインプラント療法である。「またインプラントか!」・「今更インプラントか!」と思われるかもしれない。しかしながら、今回の研修会の目的は、インプラント治療のスキルアップをする為のものではなく、インプラント治療のあるべき姿を見つめ直すこと。加えて、チーム医療で取り組むことの意義を考えることである。近年インプラント療法は、非難の的になりがちな風潮がある。時として同業者の歯科医からまで非難を浴びることすらある。
 そこで、日本における現代インプラント療法の草分けである小宮山彌太郎先生と、先生の臨床をチーム医療スタッフとして支えておられる歯科衛生士の山口千緒里先生にそれぞれの立場から講演をして頂いた。
 小宮山先生からブローネマルク教授により確立されたオッセオインテグレーションインプラントシステムの沿革が紹介された。そして、そのインプラントシステムが持つ独自性から励行すべき臨床術式・注意ポイント等が、ご自身の豊富な症例を題材に紹介された。お話の中には、ここ30年余りで不分明なエビデンスの基に提唱されている誤ったコンセプトや患者優先ではない治療が横行していることを危惧する旨のお話があった。また、デンタルインプラント自身が異種物質の生態介入であることから、施術やケアーに関しては最大限の考慮を要することも強調されていた。
 後段では、山口千緒里先生から歯科衛生士の立場からお話を頂戴した。インプラント治療は、少なからず観血処置を伴うものである。すなはち、手術環境や器具等の消毒・衛生管理は死守すべき項目である。先生は、滅菌技士の有資格者であり、清潔環境の必要性や具備条件等について日常のご自身の業務を供覧し、丁寧に示されていた。また、長期予後の向上の要となる衛生指導・メインテナンスの勘所についても詳細に示されていた。
 ご両人のお話の後に行われたディスカッションの時間では、熱心な意見交換が行われ、厳冬の中にもかかわらず熱もこもった雰囲気で閉会を迎えた。ご高話を頂いた小宮山先生と山口先生、そしてご参加を頂いた先生方やスタッフの方々に感謝を申し上げる次第である。