平成27年7月12日(日)大阪歯科大学樟葉学舎にて一般2コース「切開・縫合ハンズオンセミナー」が野阪泰弘講師、吉竹賢祐講師をお招きして開催されました。インプラント治療、歯周外科を行ううえで切開・縫合の知識、技術を習得することは必須の要件である。しかし、私を含め先生方の中には基本的な知識や技術を理解していないまま臨床を行ってきて悩んでいる方も多いと思われ、今回のセミナーが企画されました。
吉竹講師は、長年の臨床経験から無痛治療を心掛け、良い手術には良い器具を揃えることが不可欠で、骨膜剥離子はMTラスパ、Hu-Friedy P-20、持針器はウェブスター型、カストロビージョ型、外科ピンセットもマイクロアドソン有鉤・無鈎、グレーフェ型等が推奨された。インプラントや骨移植の切開、縫合では、1次治癒を確実に行うように指導された。骨膜剥離子や針、持針器の持ち方について説明があり、特に粘膜骨膜弁をしっかり剥離して骨膜まで針を通すことが大切であると強調された。縫合糸は、吸収性、非吸収性やモノフィラメント、マルチフィラメントの違いを考慮して使い分けが必要があり、フッ素加工の縫合糸Cytoplastを推奨されている。次に水平、垂直、交叉のマットレス縫合の説明があった。インプラント埋入時の縫合は、水平マットレス+単純縫合が適していると言われた。
5分の休憩後、野阪講師よりGBRのポイントについて講義があった。まず、軟組織が侵入し骨補填材が生着していないX線不透過像の症例が示された。軟組織の成長スピードが、骨組織形成よりも圧倒的に早いのが原因である。①十分な減張切開。②必ずマットレス縫合を行い、断端の上皮を3次元的に合わせる。③遮断膜を隣在歯の歯根に接触させないようにして遮断膜は露出させない。などの注意があった。次に減張切開について説明があり、下顎では、骨膜を1本のラインで新品のメスを使用して軽く抑える程度で切開することが示され、縫合で創面を寄せるのではないということでした。縫合の目的は創面を動かないよう安定させ創傷治癒を促進させ、マットレス縫合で創面を合わせなければならないと言われました。GBRの目的は、骨を造成してインプラント体に骨結合を獲得させることである。減張切開と縫合を習得するためには、原理を理解してたゆまぬ努力が必要であり、初心者は、インプラント体の埋入と骨造成を同時にしないほうがよいと言われました。
昼食後、歯肉を再現したシートにてマットレス縫合、単純縫合の実習を行った。引き続き2号館4階実習室に移動して豚の下顎骨を使用しての実習となった。途中、野阪講師より減張切開のデモがあり、きれいに骨膜が切れていく様子は感動的であった。受講者も、熱心に減張切開を行いしっかりとマットレス縫合を行った。午後4時の終了時間になっても縫合を続ける先生も続出し、時間を延長するほどであった。両講師とも、受講者には本日の実習内容を日々の臨床に生かしてもらえれば幸いですと願っておられました。
報告者:P.G.C.委員 疋田 陽造 (大31回)
文 責:P.G.C.委員長 佐古 好正(大28回)