平成29年12月9日、本学天満橋学舎西館5階臨床講義室において標記講習が行われた。 歯科医療にとって非常に密接な関係がある口腔周囲の美容・表情について、われわれは一体どれくらい知識があるのであろうか?今回はこの分野に造詣の深い日本歯科大学附属准教授 顎関節診療センター長である原 節宏(はら せつひろ)先生をお招きし、歯科衛生士・歯科助手をも対象としたレクチャーを行っていただいた。
まず、顎顔面痛の本態について解説があり、その多くに「筋膜の機能不全」が関与しているとのことであった。この「筋膜」がキーワードで、口腔周囲の美容・表情についても筋膜が経年的な形態変化を生じている結果であり、皮下脂肪や神経線維、コラーゲン線維などの機能低下が引き続いて発現するため、筋細胞に影響を及ぼすという悪循環がみられるようである。したがってそれらの改善には、各種神経受容器への圧刺激がきわめて有効であり、刺激に伴う皮下脂肪層での面ズレを惹起させることで老化が改善できるというコンセプトが「オロフェイシャルリリース」の基本となる。当日は予定外に原先生が東京からわざわざタオルをご持参いただき、オロフェイシャルリリースタオルワークの実習を急遽行っていただいた。タオルの圧力で口腔周囲のストレッチが簡単に行え、ストレートネックの改善にもつながる方法とのことである。最後にオロフェイシャルセルフリリースによって、咬筋部の弾力性が向上した症例も紹介され、今後の歯科臨床において健康と美容への取り組みはなくてはならないことが実感できた。
ご興味のある方はhttp://www.orofacial.jpでご確認いただきたい。
当日は46名の受講生が講習を修了し、非常に満足感の高いコースとの評価で、本学同窓会が主催するポストグラデュエートコースのバリュー感を再認識した1日であった。
(PGC委員会副委員長 大35回 杉岡伸悟 記)