開講報告

平成26年度ポストグラデュエートコース 1コース

身につけよう!役立つ咬合印象法-効率のよいクラウンの咬合調整-

 平成26年7月6日(日)、本学天満橋学舎7階臨床講義室にて本年度ポストグラデュエートコース1コース(卒直後コース)が開催された。

   講師には本学有歯補綴咬合学講座准教授の田中順子先生、同講師の佐藤正樹先生をお招きして行われた。演題は、「身につけよう!役立つ咬合印象法」 -効率のよいクラウンの咬合調整-。

  佐藤講師の講義では、咬合印象法の有用性について説明があった。従来法(全顎印象で作製の作業用模型:シリコーン印象、同じく対合歯列模型:アルジネート印象)で模型を咬合器装着した場合、口腔内で軽く咬合させた咬頭嵌合位より約200μm高く再現される。原因は、印象や模型の寸法精度の特性はもとより、下顎歯列弓の開口時の歪み、歯の変位による。咬合印象は、これらの影響を受けにくく、印象時間も短くてすむ。以上のことを、データをもとに解説いただいた。結果として、咬合印象法で製作された補綴物は、装着までの調整量、調整時間が節約でき、模型上で意図して付与した咬合面形態も維持できるとのことであった。その後、咬頭嵌合位における正常咬合のエビデンスと臨床で用いられる咬合検査法について解説があり、咬合紙検査とシリコーン咬合検査との差違について学んだ。

  続いて、田中准教授から、咬合印象法による印象採得から咬合器装着までの実際を、動画を中心に詳しくご教示いただいた。口腔内の咬合状態が正確に模型に再現されるまでの過程に関して、動画による解説でさらに理解が深まった。実習室に移動し、3人程度のグループに分かれ、相互実習で咬合印象の採得とバイトアイを用いたシリコーン咬合検査を行った。講義室に戻り、質疑応答とサティフィケートの授与が行われコースは終了した。  

コースを終了して、正常な咬頭嵌合位の要件とその重要性をあらためて確認できたと思う。また、咬合印象法は、咬頭嵌合位の咬合状態の再現性が、他の印象法に比べて極めて高い印象法であると理解できた。

報告者:P.G.C.委員長 佐古 好正(大28回)
P.G.C.委 員  関  良太(大39回)