平成24年 1月29日(日)、本学天満橋学舎7階共用会議室にて本年度ポストグラデュエートコース4コースが開催された。
講師には本学有歯補綴咬合学講座主任教授の田中昌博先生、本学有歯補綴咬合学講座非常勤講師で姫路市開業の龍田光弘先生ならびに本学有歯補綴咬合学講座講師の田中順子先生の3名の先生をお招きして行われた。
演題は、「咬頭嵌合位を診る」-シリコーンバイトとT-スキャン-であった。
講義では、咬頭嵌合位の機能的意義について「咬頭嵌合位は、上下顎の歯列が最も多くの部位で接触し、歯根膜の感覚受容器からの情報量が最大となる顎位である。したがって、咬頭嵌合位に関する診査は、咬合診査の中でも最も重要視しなければならない。」との解説があった。さらに、「咬頭嵌合位は噛みしめ強さに影響を受けるので、診査にあたっては、噛みしめ強さを変化させて動的に診査する必要がある。Add画像法、バイトアイおよびTスキャンⅢは、噛みしめ強さが変化した際の咬合接触の変化を動的に診ることができる。」として、これらの診査法により得られた研究データより、正常な咬頭嵌合位の要件とは「両側臼歯部同時均等接触」と結論付けた。例えば、顎機能障害患者では、噛みしめ強度により咬頭嵌合位が安定しないという。そして、歯冠修復により正常な咬合接触を付与するには、咬合接触関係の再現性の高い咬合印象法が有用であるとのことであった。
また、バイトアイ、TスキャンⅢおよび咬合印象法について、操作方法、注意点等の具体的な講義があり、各講義に引き続き実習が行われた。バイトアイの実習では、自覚的軽度および中等度噛みしめ時における咬合接触検査と上下顎歯間距離9μmおよび29μmにおける咬合接触域の解析を行った。TスキャンⅢの実習では、相互測定後、咬合解析シートを用いて咬合圧重心の時間的変化、咬合圧バランス、咬合接触時間等の評価をした。咬合印象法の実習では、トリプルトレーを口腔内の状況に合わせて調整し、実際に印象を採得した。講義、実習終了後に、質疑応答とサティフィケートの授与が行われコースは終了した。
咬頭嵌合位では、噛みしめ強さを変えても「がたつかない」ことが重要で、咬頭嵌合位の正常像は「下顎を止める!」ことにつきると、田中教授が表現されたのが印象的な講演であった。
最後に、藤野P.G.C.委員長より本年度全コースを受講された小野 廣先生(大27回)と安保 晴夫先生(大50回)に認定書と記念品が授与され、本学創立100周年の記念すべき年である平成23年度のP.G.C.全コースが盛況のうちに終了した。
P.G.C.委員 関 良太(大39回)